愛犬にネクスガードスペクトラを投与した後、突然の軟便に驚き、心配になっている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。「もしかして副作用?」と不安になり、副作用の続く時間や他の飼い主さんのブログを探しているかもしれません。
また、軟便だけでなく吐くといった症状や、食物アレルギーの可能性、さらにはインターネットで見かける死亡という重い言葉に、薬の安全性について深く考えてしまうこともあるでしょう。そもそも犬に薬が合わないとどんな症状が出るのか、体重オーバーは関係あるのか、そして動物病院での値段はどのくらいなのか、疑問は尽きないはずです。
この記事では、ネクスガードスペクトラによる軟便の主な原因から、飼い主さんができる対処法、そして薬の安全性に関する客観的な情報まで、網羅的に解説していきます。愛犬の健康を守るための正しい知識を身につけましょう。
ネクスガードスペクトラで軟便になる原因

犬に薬が合わないとどんな症状が出る?

犬に薬が合わない場合、最も多く見られるのは消化器系の症状です。これはネクスガードスペクトラに限らず、多くの内服薬や注射薬で起こり得る反応となります。
具体的には、以下のような症状が挙げられます。
薬が合わない場合の主な症状
これらの消化器症状が最も一般的ですが、稀に神経系の症状として興奮したり、アレルギー反応として皮膚にかゆみが出たり(薬疹)、発熱したりすることもあります。
多くの場合、これらの症状は薬の成分が体に合わないことによって引き起こされる一過性のものですが、愛犬の様子に少しでも異変を感じたら、自己判断せずに獣医師に相談することが重要です。
薬の副作用の時間は?ブログ情報の注意点

ネクスガードスペクトラの副作用として報告されている下痢や嘔吐は、ほとんどの場合、一過性で、投薬後数時間から1〜2日程度で自然に治まるとされています。
もし症状が短時間で落ち着き、犬自身も元気で食欲がある場合は、少し様子を見ても良いかもしれません。しかし、症状が長引いたり、他の症状を併発したりする場合は注意が必要です。
インターネットやブログ情報の取り扱いについて
副作用について調べる際、他の飼い主のブログやSNSの情報を参考にすることもあるかと思います。しかし、それらはあくまで個人の体験談であり、医学的な根拠に基づいた情報ではありません。
犬の体質や健康状態は一頭一頭異なります。特定のブログで「大丈夫だった」と書かれていても、ご自身の愛犬に当てはまるとは限らないため、情報を鵜呑みにするのは危険です。必ずかかりつけの獣医師の判断を仰ぎましょう。
副作用が出た時間はもちろん、便の状態や回数、その他の症状などを記録しておくと、獣医師に相談する際に的確な情報を伝えることができ、スムーズな診断につながります。
軟便の他に吐くなどの症状はある?

はい、ネクスガードスペクトラの副作用として、軟便や下痢のほかに嘔吐や食欲不振といった消化器症状が報告されています。
動物用医薬品等データベースによると、ネクスガードスペクトラの副作用として、ごく稀に以下の症状が認められることがあると記載されています。
これらの症状は、ほとんどが一過性のもので、特別な治療をしなくても回復することが多いとされています。ただし、投与後2時間以内に嘔吐して薬を完全に吐き出してしまった場合は、薬の成分が吸収されていない可能性があるため、再投与が必要になることがあります。その際は、必ず獣医師に指示を仰いでください。
また、下痢と嘔吐が同時に起こると脱水症状を引き起こしやすくなるため、特に注意深い観察が必要です。
大豆アレルギーが原因の可能性

ネクスガードスペクトラによる軟便は、有効成分(アフォキソラネル、ミルベマイシンオキシム)が体質に合わない場合のほかに、薬に含まれる添加物へのアレルギー反応の可能性も考えられます。
ネクスガードスペクトラは、嗜好性を高めるためにおやつ感覚で与えられるチュアブルタイプのお薬です。その原材料として、牛肉は含まれていませんが、風味付けや成形のために以下の成分が使用されているという情報があります。
ネクスガードスペクトラの主な原材料
公式サイトの情報によると、主成分の他に大豆たん白、コーンスターチ、牛乳などが含まれているとされています。このため、これらの食物にアレルギーを持つ犬は注意が必要です。
(参照:ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社 公式サイト)
特に、大豆アレルギーを持っている犬の場合、ネクスガードスペクトラの投与によってアレルギー反応として下痢や皮膚のかゆみなどを引き起こす可能性があります。
もし愛犬に何らかの食物アレルギーがある場合は、投与前に必ず原材料を確認し、かかりつけの獣医師に相談してください。
体重オーバーの犬への投与リスク

ネクスガードスペクトラは、愛犬の正確な体重に基づいて、適切なサイズの製品を選ぶことが非常に重要です。体重オーバー、あるいは逆に体重未満の犬に誤ったサイズの薬を投与すると、期待される効果が得られなかったり、副作用のリスクが高まったりする可能性があります。
例えば、規定量より少ない薬を投与した場合、フィラリア予防やノミ・マダニ駆除の効果が不十分になる恐れがあります。逆に、体重に対して過剰な量を投与(体重オーバーのサイズの薬を投与)した場合、副作用が強く出てしまう危険性が考えられます。
正しい投与量の重要性
ネクスガードスペクトラは体重別に5種類に分かれています。必ず投与直前の体重を測定し、
適切な製品を選択してください。特に成長期の子犬や、体重が変動しやすい犬の場合は、
毎回の投与前に体重を確認することが推奨されます。
「うちの子、ちょっと太り気味だから大きいサイズの方が効きそう」といった自己判断は絶対に避けてくださいね。必ず獣医師の指示に従い、正しい用量を守ることが、愛犬の安全につながります。
ネクスガードスペクトラで軟便以外の疑問を解消

ネクスガードスペクトラの安全性は?

ネクスガードスペクトラは、世界中の多くの犬に使用されており、基本的には安全性の高い医薬品として認識されています。
有効成分であるアフォキソラネルとミルベマイシンオキシムは、ノミやマダニといった無脊椎動物の神経系に作用するもので、犬などの哺乳類には影響が少ないように設計されています。
しかし、医薬品である以上、副作用のリスクがゼロというわけではありません。特に、ネクスガードスペクトラを含むイソオキサゾリン系の薬剤については、2018年に米国食品医薬品局(FDA)が「てんかん発作などの神経症状が報告されている」として、獣医師や飼い主への注意喚起を行ったという情報もあります。
注意が必要な犬
以下のような犬に投与する場合は、特に慎重な判断が必要です。必ず事前に獣医師に相談してください。
多角的な視点から見ると、非常に便利で効果的な薬である一方、特定の犬にはリスクも存在します。愛犬の犬種や年齢、既往歴などを総合的に考慮し、獣医師とよく相談した上で使用を判断することが大切です。
死亡例から見るリスクと因果関係

ネクスガードスペクトラの安全性について調べる中で、「死亡」という言葉を目にすると、強い不安を感じるかと思います。実際に、動物用医薬品等データベースには、ネクスガードスペクトラ投与後の死亡事例がいくつか報告されています。
しかし、これらの報告を詳しく見ると、その多くが「因果関係不明」または「因果関係がないとはいえない」と評価されています。これは、薬の投与が直接的な死因であると断定できなかったケースがほとんどであることを意味します。
報告されている事例の中には、以下のような背景を持つ犬が含まれています。
ネクスガードスペクトラの投与が直接の原因で健康な犬が死亡したと明確に結論付けられた事例は、報告上は見つけにくいのが現状です。とはいえ、医薬品である以上、予期せぬ重篤な副作用が起こる可能性は完全には否定できません。だからこそ、投与前の健康チェックやフィラリア検査が非常に重要になるのです。
過度に怖がる必要はありませんが、リスクがゼロではないことを理解し、投与後は愛犬の様子を注意深く観察することが求められます。
軟便が続くときの具体的な対処法

ネクスガードスペクトラを投与した後に軟便がみられ、それが1〜2日以上続く場合や、犬の元気がなくなってきた場合は、家庭での適切な対処と、動物病院の受診を検討する必要があります。
家庭でできる対処法
まずは、愛犬の状態を落ち着いて観察し、これ以上悪化させないためのケアを行います。
- 水分補給:下痢は脱水症状を引き起こす可能性があります。いつでも新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。飲水量が少ない場合は、ウェットフードに水を加えるなどの工夫も有効です。
- 食事の管理:消化器系に負担をかけないよう、一時的に食事を抜くか、消化の良いフード(獣医師推奨の療法食など)を少量与えるようにします。
- 安静の確保:静かで落ち着ける環境を整え、ゆっくりと休ませてあげましょう。散歩は短時間で済ませるか、症状が落ち着くまで控えます。
すぐに動物病院を受診すべきケース
以下のような症状が見られる場合は、様子を見ずに速やかに動物病院を受診してください。
緊急性の高い症状
特に、子犬や高齢犬、持病のある犬は症状が急変しやすいため、早めの対応が肝心です。受診の際は、いつからどのような症状が出ているか、便の状態などを記録して持参すると診断の助けになります。
動物病院での値段と安く買う方法

ネクスガードスペクトラは動物病院で処方される医薬品であり、その値段は病院によって異なります。一般的には、診察料や処方料が上乗せされるため、市販薬に比べて高額になる傾向があります。
動物病院での価格の目安
病院や地域によって差はありますが、おおよその目安として1錠あたりの価格は以下のようになっています。
製品名 | 対象体重 | 1錠あたりの価格目安 |
---|---|---|
ネクスガードスペクトラ11.3 | 1.8~3.6kg未満 | 約2,900円~3,200円 |
ネクスガードスペクトラ22.5 | 3.6~7.5kg未満 | 約3,100円~3,400円 |
ネクスガードスペクトラ45 | 7.5~15kg未満 | 約3,400円~3,700円 |
ネクスガードスペクトラ90 | 15~30kg未満 | 約3,800円~4,100円 |
ネクスガードスペクトラ180 | 30~60kg未満 | 約4,000円~4,400円 |
これに加えて、初診料や再診料、フィラリア検査費用(約3,000円~5,000円)などが別途必要になります。
安く購入する方法(個人輸入代行)
費用を抑える方法として、海外の製品を個人輸入の形で代行するウェブサイトを利用する方法があります。これを利用すると、動物病院よりも安価に購入できる場合があります。
個人輸入代行の注意点
メリット:費用を抑えられる可能性がある。
デメリット:
個人輸入を利用する場合でも、フィラリア予防を開始する前のフィラリア検査は動物病院で必ず受ける必要があります。万が一フィラリアに感染した状態で予防薬を投与すると、愛犬がショック症状を起こし命に関わる危険があるためです。利便性とリスクを十分に理解した上で、慎重に利用を検討してください。
ネクスガードスペクトラで軟便なら獣医師へ

この記事では、ネクスガードスペクトラ投与後の軟便について、その原因から対処法、安全性に関する情報までを解説しました。最後に、記事の要点をまとめます。
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